産学連携の成功事例:知財が拓く新たなビジネス
大学の基礎研究から革新的なビジネスが生まれる産学連携の世界。知的財産の適切な共有と活用が、持続可能なイノベーションの鍵となります。
大阪大学発ベンチャー「株式会社レクスト」の成功
基礎研究の段階
大阪大学の電気工学分野における長年の研究成果がベースとなりました。レドックスフロー電池に関する基礎研究は、高い安全性、長寿命、大容量化の可能性から注目されていました。
ベンチャー企業の設立
大学の研究成果を基に「株式会社レクスト」が設立されました。次世代蓄電デバイスの実用化を目指し、研究開発と事業化を推進しています。
ビジネス展開
より高性能で実用的なデバイスの開発を進め、電力貯蔵システムや非常用電源など、新たな市場ニーズに対応する製品・サービスとして展開しています。
大手企業との提携
蓄電池市場での高いポテンシャルと大手企業との提携を通じて、大きな成長を遂げています。
産学連携における知財共有の理想的な形
特許の共同出願
大学の研究成果と企業が加えた改良・応用研究の境界を明確にし、共同研究の成果として共同で特許を出願することが望ましいです。
実施権の設定
企業側は「独占的実施権」を設定し、大学側には研究目的での「非独占的実施権」を保持することが重要です。
ロイヤリティの支払い
実施権設定の対価として、企業は大学に対して「実施料(ロイヤリティ)」を支払います。これは大学の新たな研究資金源にもなります。
技術移転機関の介在
大学の知的財産本部やTLO(技術移転機関)が、企業との間の特許共有や実施権設定、ライセンス交渉の仲介役となることが有効です。
知財がもたらす産学連携の成功の鍵

社会的インパクト
新たなビジネスの創出と社会課題の解決
ビジネス成長
企業の事業拡大と市場競争力の向上
双方のメリット最大化
大学と企業の利益を両立する知財戦略
適切な知財管理
特許の共有と実施権の明確な設定
この事例は、大学の基礎研究という「種」を、企業が持つビジネス化のノウハウと知財戦略という「水と肥料」で育てることで、社会に大きなインパクトを与える新たなビジネスへと成長させられることを示しています。特許の適切な共有と実施権の設定は、持続可能な産学連携モデルを構築する上で不可欠な要素です。
産学連携に関する参考資料
株式会社レクスト 公式サイト
会社概要や事業内容、技術情報が掲載されています。
大阪大学 産学共創・社会連携部門
大学の産学連携に関する取り組みや事例が紹介されています。
JST(国立研究開発法人科学技術振興機構)
産学連携の事例や支援プログラムに関する情報が豊富です。JSTの「大学発ベンチャー調査」などの報告書には、成功事例が多数掲載されています。
https://www.jst.go.jp/
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